昨今のAIを取り巻く時局に鑑みて、一人のクリエイターとしてAIに対する姿勢と方針を表明しておく必要があるかと思い、このような文章を綴ります。
(1)AIへの認識
すでに多様な分野でAIが活用されていますが、ここでは主に、「媒体を問わず作品を作り出すことのできる生成AI」と、「文章の校正を行う文章校正AI」の二つについて言及します。
まず「生成AI」とは、事前に「学習データ」をインプットされたAIが、その学習データに基づいたアウトプットを行うものと認識しています。つまり、与えられた「1」という数字をこねくり回して2,3,4……100という数字を作り出すだけで、生成AIは決して、「0から1を作ること」はできない、との認識です。
そして「文章校正AI」も同じく、事前に校正のルールなどのデータをAIにインプットし、AIはそのデータに基づいて文章の「正しさ」を判定しているのであって、自己学習などの深くて複雑な思考性能を持っているわけではない、と認識しています。
(2)AIの問題点への認識
主に生成AIの利用に関して噴出している問題点だと思うのですが、AIに事前にインプットする「学習データ」――これに、作者(権利者)の許可なく、あらゆる媒体の既存作品が勝手に利用されている、というのが一番の問題点かと思います。私の目にする範囲ではイラストや漫画が顕著だと思うのですが、文章作品や音楽作品、映像作品も例外ではありません。クリエイター側としては、「自分の作品が自分の許可なくAIの学習データとして利用される」という権利侵害の問題があるだけでなく、「そのデータに基づいて自分の作品によく似た作品がAIによって生成される」という、非常に複雑な問題も派生していると認識しています。
文章校正AIに関しては、問題点というほどでもありませんが、文章校正AIの指摘を鵜呑みにするのはたいへん危険である、と認識しています。「文章校正AIだからこそ正確な校正ができる」なんてことはまったくなくて、文章校正AIについては正直、「Wordに標準搭載されている文章校正機能と大差はない」と思っています。つまり、Wordの機能が完璧でないように、文章校正AIもまったく完璧ではなく、妄信するのは非常によろしくないことかと思います。
(3)AIへの方針
以上を踏まえ、矢崎未紗という一人のクリエイターとしてのAIへの方針は、以下のとおりです。
①生成AIはその種類を問わず、自分が直接使うことは決してない
②文章校正AIを利用することはあるが、AIの指摘事項は決して鵜吞みにせず、指摘ポイントは必ず自分で資料等にあたり、確信を得てから採用する
まず、①について。
私は自分の作品表紙などの画像を自作することがありますが、そうした画像制作に、生成AIは絶対に用いません。また当然ながら、生成AIを用いて文章作品を制作することも絶対にしません。「全文じゃなくてほんの一部……あらすじだけでも……」ということもしません。本文もあらすじも、自分の作品は必ず、自分の中から生まれた言葉だけで制作します。
作品表紙の画像背景は、自分で制作せずにBOOTHなどで購入した素材を使っていることがあります。そうした購入素材、あるいは明確に「フリー素材である」と規定されてネットで公開されている素材――そうしたものも、できれば生成AIで作られたものではなく、人の手で手間暇かけて作られたものであってほしいと思っていますが、自分以外の誰かに対して、生成AIを使うことを制限する権利は、当然私にはありません。ですから不可抗力的に、生成AIで作られた素材を使ってしまうことはあるかもしれません。それでも、自分の文章作品は必ず、自分の力で作ります。生成AIは使いません。
②について、文章校正AIとして現時点で利用実績があるのは、アルファポリス様(https://www.alphapolis.co.jp)のAI校正機能です。
文章校正AIは、「誰かの作品を勝手に学習データとして用いたのではなく、辞書や日本語文法など、公的に利用できるものが学習データに用いられている」と、性善説に基づいて認識していますが、一点だけ、常に確認するようにしていることがあります。それは、文章校正AIを利用するにあたって、「自分の作品が学習データとして利用されるか否か」ということです。
アルファポリス様のAI校正機能は、「校正内容や文章は大規模言語モデル(LLM)の学習データとして使用されることはありません」と案内されています(出展:https://www.alphapolis.co.jp/pages/ai_emend/about)。私はこの案内文を信じて、自分の作品が学習データとして利用されないので、この機能を使っています。言い換えれば、「AIによる文章校正を行うにあたり、自分の作品が学習データとして参照される」という文章校正AIであれば、私は使いません。
方針①、②に共通するするのは、「人の手で作られた作品が、AIの学習データに使われるのは許せない」という考えです。
あらゆる生成AIは、誰かの作品が無許可で学習データに使われているものだと思っていますが、それは明確な権利侵害です。作者がプロかアマか、発表された作品が有料か無料か、それらを問わず、すべての作品と作者の権利は守られるべきです。勝手にAIの学習データに用いられることは許せません。
また、私は文章校正AIに自分の作品を学習データとして提供するのは許可できない、と考えています。私の作品は、学習データに利用されるために制作したものではないからです。ですから、自分の作品が学習データに利用されるような文章校正AIなら、絶対に使いません。
(4)アルファポリス様のAI校正機能について
現時点ですでに利用実績のあるアルファポリス様のAI校正機能について、補足をしておきます。
アルファポリス様の「小説AI校正とは」というページ(https://www.alphapolis.co.jp/pages/ai_emend/about)でも記載されているとおり、正直この機能は完璧なものではなく、個人的には、評価できる部分のほうが少ないです。この機能によって発見できた誤字脱字はもちろんありますし、根本的に用法が間違っていた語句について知ることもできました。しかし、指摘事項には疑問符が浮かぶことが多く、鵜呑みにする気は最初からありませんが、この機能を使うことでむしろ、文章が悪化する可能性もあるのでは、と少し懸念しています。一例として、この小説AI校正機能に、「〝荒らげる〟は〝荒げる〟の誤用で、〝荒げる〟が正しい」と指摘されたことがあるのですが、「荒らげる」こそが本来の表記であって、決して誤用ではありません。現代では「荒げる」のほうが多く使われている、というのが実情ではありますが。
そうした懸念点はありますが、今のところ、自分の手の届く範囲で最も使いやすい文章校正AIなので(自分の作品が学習データに利用されない、という絶対条件もクリアしているので)、今後もこの機能を使うことはあると思います。ですが、方針②にあるとおり、決してAIの指摘を鵜呑みにはしません。指摘事項は辞書を基本とした資料を必ず参照し、そのうえで正誤の判断をしっかりと自分自身で行います。
(5)広義のAI利用について
主に作品制作に関するAIについて言及してきましたが、直接的に作品制作に関わることのない場合に、ChatGPTを利用した実績はあります。また、今後も使うことはあります。
利用実績としては、以下のような問いをChatGPTに投げたことがあります。
「〝たたきつける〟の〝つける〟と同じ意味、用法の〝○○つける〟という言葉を十個挙げて」
「2025年にテレビで紹介されたラーメン屋で、元フレンチのシェフが店主のラーメン屋は?」
前者は、「つく・つける」という語句の表記ルールを整理していた際に、手軽に単語を列挙してもらえるかと思って尋ねてみました。結果としては、いったいどういう理由、根拠で「同じ意味、用法である」と判断されたのか、それがまったくわからない語句が羅列されて、ろくに使い物になりませんでした。それに結局、「○○つける」という語句を見つけるたびに、その一語一語の意味を複数の辞書で調べるので、ChatGPTには「ただ単語を出してもらう」という仕事しか任せられず、表記を検討する仕事は任せられませんでした。
また、後者は自分で検索してもお目当てのラーメン屋が見つからず、ChatGPTを頼った次第です。でも結局、ChatGPTも人間と同じように「テレビ ラーメン フレンチ」でネットを検索しているだけ……だと思うのです。いわゆる「ググる」という作業を、人間の自分より早くできるだけ……と思ったら、ChatGPTもそこまで有能ではないなと感じました。検索方針や回答の仕方を細かく指示すれば秀逸な結果を出してくれるのでしょうが、私にとってのChatGPTの価値は、せいぜい「自分より早くラーメン屋を検索して見つけてくれる」程度のものでしかないようです。
ということで、ChatGPTを使うことは今後もあるかもしれませんが、それは私にとってはあくまでも、「Googleで検索する」という作業の延長線にすぎません。また検索結果については、文章校正AIと同じく決して鵜呑みにせず、結局は自分で調べ直して、自分で納得したものを答えとします。
以上が、AIに対する矢崎未紗の姿勢です。
各サイトのプロフィールなどに記載はしていますが、私の作品をAIの学習データに利用することは許可しておりません。今後も許可することはありませんので、宜しくお願い致します。
AIのすべてを否定する必要はないと思いますが、すべての作品と作者の権利はしっかりと守られるべきだと、それは強く思います。どうか、作品と作者の権利が守られたうえで、誰かを不快にさせるためではなく、正しい方向でAIが使われますように。
(本文章は2026年1月31日時点のものであり、今後変更される可能性が皆無ではありません)
〆
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